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院長のひとり言~今年はインフルエンザは流行する?~

2021年10月16日|カテゴリー「院長のひとり言
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昨年の冬季にはインフルエンザと新型コロナとの同時流行が危惧されていましたが、同時流行はみられませんでした。当院でも、開院して以来、初めてインフエンザの患者さんの来院はありませんでした。


これは、新型コロナ対策として普及した手指衛生やマスク着用、3密の回避、国際的な人の移動の制限などの感染対策がインフルエンザの感染予防についても効果的であったからだと考えられています。


毎年冬に流行するインフルエンザウイルスは、原則としてヒトだけが感染し、感染したヒトがウイルスを運ぶことで流行が拡大します。つまり、国際人流が毎年のインフルエンザ流行には不可欠で、 この国際人流で特に重要なのが、北半球と南半球の往来です。北半球と南半球の温帯では、冬が真逆の時期になり、この地域間でヒトがウイルスを運ぶことにより、世界的なインフルエンザの流行が維持されてきました。202021年の冬は、新型コロナの流行で北半球、南半球ともにインフルエンザの感染者数が大幅に減ったのに加えて、この南北の国際人流が止まったため、世界的にインフルエンザの流行がなくなったと考えられます。


では、今年インフルエンザの流行は再来するのでしょうか。


 2021年も南半球の温帯では、冬の69月に流行がほとんど起こりませんでした。このため南半球から北半球にウイルスが運ばれることは、まずないと考えられます。 その一方で、アジア、アフリカ、中米などの熱帯地域で、インフルエンザの小さな流行が発生しています。これから迎える冬にも、日本などの北半球では、熱帯の流行が波及してくる可能性はあります。そして、ひとたびインフルエンザが流行し始めると、まるまる1年流行がなかった影響で日本国民の集団免疫が低下しているため、大きな流行になる怖れがあります。


過去100年の歴史を見ても、インフルエンザの流行が2年連続して起きなかったことはありません。新型コロナだけでなく、老舗の感染症であるインフルエンザも決して甘くみてはいけないのです。

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